内容 | 解説 |
これからご紹介する「三段階の音声差替技術」は、ナレーションの録音完了後に、急な原稿修正などが必要になった場合に行う究極的な技術です。 本来は、音声のつぎはぎをして修正するよりも、全体を再録音してしまった方が、読みの流れに違和感がなく、安全で確実な方法なのですが・・・。 |
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しかし時間的な問題やご予算的な問題で、どうしても音声の差し替えで対処せざるを得ない場合があります。 そんな時にナレーション声優スタジオが駆使する職人ワザが、究極の「三段階の音声差替技術」です。 それではご紹介しましょう。 |
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第一段階「ブロック差替」 差し替える言葉がある部分だけではなく、ある程度の範囲をブロックとして、読み直した音声と差し替えます。 短い部分で差し替えると、そこが差し替えたことがわかってしまい、違和感を生じることがあります。 それを避けるために、範囲を広げてブロックで差し替えます。 |
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それではやってみましょう。 まず、原音をお聞きください。 |
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今聞いていただいた音声をこの様に修正します。 原稿の赤い文字が修正する部分ですが、そこだけではなく、青い文字にまで範囲を広げ、ブロックで読み直して差し替えます。 そして読み直したブロックがこれです。 |
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最後に、ブロック差替が完了した音声をお聞きください。 ほぼ違和感なくつながっていることがご確認いただけるかと思います。 |
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第二段階「単語差替」 一言だけ、ほんのちょっと、原稿に修正が入ってしまった場合に行います。 同一原音の別の場所から、同じ様な単語を読んでいる部分を見つけて差し替えます。 |
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それではやってみましょう。 まず、原音をお聞きください。 この原音の「観光」を「厳選」へ変更します。 |
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次に、別の場所から見つかった同じ様な単語の発音部分をお聞きください。 | |
そして差し替えが完了するとこの様になります。 どうでしょうか。差し替えたことが判別できますか? |
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第三段階「究極差替」 一言だけ、ほんのちょっと、原稿に修正が入った。 しかし納期がない。ナレーターの都合がつかない。という逃げ場のない崖っぷちに追い詰められてしまった時には、「別の人の声」を使って差し替えてしまう究極の方法があります。 |
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それではやってみましょう。 まず、原音をお聞きください。 この音声の語尾の「ました。」を「ます。」へ変更します。 |
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そして・・・これが完成品です。 実は・・・この差し替えた音声は、女性ではなく、男性の声を使っています。 まさに究極! |
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しかしこの様なことが可能だといたしましても、修正作業が発生しますと、お客様の時間の浪費とコストの増加などにつながってしまいます。 できれば修正がそれ以上入らない状態になった、完全原稿で最初からご依頼いただけますと、無駄のない効率的な制作ができますので、ご協力を宜しくお願いいたします。 |
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今回はナレーション声優スタジオの音声編集技術の一つとして、かなり極端な例を含めてご紹介しました。一応この様なこともやれますというデモンストレーションだとお考えください。 | |
※この動画には、ナレーション声優スタジオ独自の用語が多数含まれています。一般性のない呼称ですのでご注意ください。 |