フェードインというのは、だんだん音が大きくなることで、逆にフェードアウトは、だんだん小さくなることです。波形編集ソフトとマルチトラック編集ソフトには、大抵この機能が付いています。しかしその使い方と意味がちょっと異なるので、今回はまず波形編集ソフトのフェードイン/フェードアウトについてお話ししましょう。 以前にも説明しましたが波形編集ソフトとは、素材となるサウンドファイルを加工するためのものです。ですからフェードイン/フェードアウト機能も、素材の余分なものを外す、隠すという意味で使うことが多くなります。 図1を見てください。一見普通の波形で、このままでも問題がなさそうな気がします。しかし図2の様に縦方向に拡大してみると、必要な波形の前後が無音ではなくて、バックグラウンドにわずかにノイズが入っていることがわかります。「こんなのいいじゃん!わかんないってば。」って言われそうですが、これって意外と聞こえるんですよ。そこでフェードイン/フェードアウトの登場です。図3の様に必要な波形の前にフェードイン。後ろにフェードアウト処理をします。こうすることで、ノイズがほとんどわからなくなります。 また、そのかけ方にもコツがあります。図4を見てください。効果がわかりやすい様に、1kHzの基準信号(ピ~~~~~~~という音)を使いました。これにフェードアウトを1回かけます。(図5)直線的に音が小さくなっています。普通はこれで終わりなんですが、同じ場所にもう一回フェードアウトをかけてみると・・・あら不思議。落ち始めでスっとやや多めに落として、ゆっくりと小さくなる、すなわち対数カーブになります。(図6)実はこのカーブ、非常になめらかな音の変化であり、人間の耳には自然な減衰に聞こえるのです。だから、音楽などで最後の余韻を残したいフェードアウトに最適。 さらに回数を増やすと(図7,図8)、最初の落ち方が急になってきます。この様に、複数回同じ場所にフェードアウトをかけることで、減衰のパターンを調整できるのです。あ、言い忘れましたが、フェードインも同じですよ。 さていかがでしたか?今回はちょっとばかり、読んで得した気になりません? ということで、また次回。 |
■フェードインとフェードアウト 図1:一見このままでも問題なさそうな波形 図2:縦方向に拡大するとノイズが見えてくる 図3:波形の頭にフェードイン/波形の終わりにフェードアウト 図4:1kHzの基準信号です。 図5:フェードアウト1回 直線的に音量が下がっています。 図6:フェードアウト2回 綺麗な対数カーブになります。 図7:フェードアウト3回 図8:フェードアウト4回 |