Walking in Space 2が引き受けている仕事には、お客様との間に守秘義務があるため、なかなか公開できないんですが、今回ちょこっと語っても良いという許可が出ましたので、PRを兼ねて紹介させていただきます。 株式会社エンターブレインから、月刊誌テックジャイアン(以下TG)という、美少女ゲーム専門誌が発売されていますが、その付録CD-ROMに収録されている独自コンテンツを制作しています。もう足かけ2年になるんですが、「えろぶ」が3期で全14話。「桃源雲雨」が全6話。そして今月(2003年5月発売号)から掲載が開始される、新作「パージャマハール」と続いています。おかげ様でこれらコンテンツは非常に好評で、TG独自コンテンツの中でも、上位にランキングされるほど人気があるそうです。(TG編集部談) さて、このパージャマハール。前二作とはガラッと雰囲気が変わりました。コメディタッチではなく、ぐっと大人の雰囲気をかもし出した作品です。声優の演技にも、かなり比重が置かれています。本当はもっと詳しい内容を話したいんですが、それは実物を見てのお楽しみということにしておいて、ここではパージャマハールの効果音と特殊効果についてお話ししましょう。 パージャマハールでは、「布団」の音が重要な効果音となります。それまでの二作でも布団の音を使いましたが、さすがに同じ音では芸が無いので、今回は新たに録音し直しました。でも、一口に布団の音と言っても、かなりの種類が必要なんです。右から布団に入る/左から布団に入る/右布団の中でズズズ/左布団の中でズズズ/布団から出る/布団の中で衣擦れ/布団の中で一人ゴソゴソ/布団の中で乗っかかる・・・という感じで、さらにそれぞれのバリエーションをいくつか作りました。あそうそう、布団って言ってますけど、ドラマの中での設定は、もちろんベッドです。 作り方は、まさにそのまんま。声優が実際に布団に入ってゴソゴソやります。別に声優がわざわざやらなくてもよさそうなものですが、そこはそれ、出演している人間が自分でゴソゴソやった方が、リスナーに真のリアリティが伝わるかと・・・いや、まあ、ただそう思っただけなんですけど。(写真1) そして特殊効果。会話の一部を、布団の中でしている様な音質にして欲しいと、脚本家さんからの要望があり、これはかなり難問でした。普通ならイコライザーで音質を変えて作るところなんですが、こもり気味の音は作れても、どうも近くにいるという感じがしません。じゃあ、マイクに近づいたらどうなるか・・・マイクを吹いてボコボコ言うし、近接効果で低域がものすごく持ち上がった音になってイメージからかけ離れてしまいました。それでは布団に実際入って録音したら・・・布団がすれるノイズが大きくてダメ。 吹かないでマイクに限界まで近づけ、しかも低域の上昇を抑える。それに加えて、布団の中で会話している響きを持たせる。このチョー難問を解決したのが、後に我々が「布団セット」と呼ぶことにした、「あるもの」を使ったアイデアです。録音後に処理するのではなく、録音時にそういう音にしてしまうための道具です。その効果はイメージピッタシ。まさに、布団の中で接近した二人が会話している声になりました。どんな風に仕上がったのかは、今月号のテックジャイアンでご確認ください。 おっと? 布団セットが何なのか知りたいですか?いや~それは、守秘義務には該当しないんですが、ウチの企業秘密でして・・・。 ということで、また次回。 |
■パージャマハール:布団の中でゴソゴソする効果音の録音風景 誰がどう見てもAV撮影の現場写真だが、勘違いしてはいけない。真剣に演技指導をする筆者と、それに必死で応えようとする声優の姿である。念のため申し上げるが、筆者の右手は布団を押さえているのであり、声優にタッチしているのではない。また、かなり怪しいマスクは花粉症のためであり、顔を隠すのが目的ではないことをお断りしておきたい。 |