見積依頼│お問合せ

narration@wis2.jp

第012回『整音の要・コンプレッサ』

今回は地味でありながら、整音の必需品。それでもって最も難しいエフェクトとされている、コンプレッサについて説明しましょう。

コンプレッサの働きをものすごく簡単に言えば、ピークを抑えて音量を平均化し、全体の音を大きく聞こえやすくするためのものです。ちなみにプロの間では、その効果のことを「音圧を上げる」と言います。今回も登場するのは「SoundEngine Free」。この素晴らしいソフトを使ってコンプレッションすると、処理前と処理後では劇的に音がデかくなります。

ところでコンプレッサの難しさというのは、いくつかあるパラメータの設定にあります。原音の状態を判断して、それにマッチした、微妙な設定をしなければならないんですよ。しかし、そんなことをしていたら、いつまでたってもコンプレッサ処理ができないので、ここではバカチョン方式で説明します。とにかくこのままやれば、音が大きくなります。

じゃやってみましょう!図に従って上から順に処理すれば終わり。ものすごく簡単でしょ?各図に付けたコメントとダブるので、ここでは説明を省略しますが、処理前の図3と処理後の図8を比べてください。違いは明らかですね?波形の密度が上がっているのがわかると思います。その密度の差が、音の大きさの差になって聞こえるわけです。

プリセット(SoundEngine Freeではライブラリと呼んでいる。)で一発処理というのは、プロの目から見るとちょっと問題アリです。原音の状態によっては、もしかすると良い結果が出ないかもしれません。しかしパソコンのスピーカーで再生する程度なら、少々のアラがあっても聞こえませんから、とりあえずやってみる価値はあると思います。

例えば声の提供者が自宅で録音したファイルを受け取って、オーディオドラマを制作している方がいらっしゃいますが、複数の出演者がいると音が違いすぎて掛け合いにならない・・・などで、苦労されていませんか?そんなとき、まずセリフを順番に並べて、一気にコンプレッサをかけます。デコボコがなくなるので、それだけでもかなり聞こえるようになるはずです。

え?そんなノウハウをタダで教えてもいいのかって?
ご安心ください。私の整音技術はこんなもんじゃありません。何てったって腕と耳が違いますから。
ガッハッハッハ。・・・あううう、誰も誉めてくれないから、一度言ってみたかったのでありました。

ということで、また次回。
■整音のキモ・コンプレッサ
図1:原音の波形。かなり小さいです。


図2:全体の音量が小さいので、ノーマライズしてできるだけ大きくします。


図3:とりあえずノーマライズした波形。一部のピークが最大値に届いているので、そこで抑えられて他の波形が全体的に小さくなっています。


図4:RMSコンプレッサを選択します。


図5:ライブラリーの「Vocal」を選択します。そして処理をすると・・・。


図6:飛び出ていたピークが無くなって、波形の幅が均一になりました。


図7:ここで再度ノーマライズをかけて、小さくなった分を持ち上げます。


図8:図3と比べると、全体の波形がより最大値に近づいたのがわかります。つまり、音が大きくなったわけです。

↑ PAGE TOP