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第2回:二つの制作方法

オーディオドラマを作ろうとする場合、従来ですとスタジオ録音しか選択肢がありませんでしたが、インターネットによってちょっと状況が変わってきました。キャラごとに出演者が自宅のパソコンでセリフを録音し、通信を使って音声データを集めて編集する・・・という方法の出現です。(まだ一般的に使われている呼称がないので、仮に『オンライン制作』とします。)

いや~、初めてこの方法を使って制作しているサークルさんを発見したときは、驚きましたよ。こんな手間のかかることよくやるな~って。まず声優から送られてきた個々のセリフを切り出して、キャラごとに脚本の順番に並べる。それからセリフの間合いを一つずつ調整する。出演者が何人もいたらそれこそ膨大な作業に・・・。それに声優が自宅機材で録音するため、音質がばらばらで整合が取れません。

こんな面倒で音も良くない方法はすぐ無くなるだろう・・・と、あまり気にしていなかったんですが、気付いた時にはあっと言う間に広がっていました。今では、初心者がオーディオドラマを作る定番の方法に・・・。いやいやそれどころか、サークルによっては、下手なスタジオ録音で作ったよりもハイレベルな作品も登場してきました。これには正直驚きました。

これほど急速に一般化したのは、インターネットの普及。デジタル録音機材の低価格化・高音質化。そして制作費がほとんどかからないという「超お手軽」さがウケたんでしょう。もともとオーディオドラマは、他のメディアと比較すると参加しやすいのですが、オンライン制作によってその手軽さが加速されたみたいです。

さて、あなたならどちらを選びますか?まあとりあえず、どちらが良いかという議論はおいといて、知識としてこれら二つの制作方法の長所・短所を知っておいてください。

A:スタジオ録音制作
●長所
・関係者全員のコンセンサスを取りながら録音を進めることができる。
・原稿の追加・修正やリテイクがあってもその場で完了。効率が良い。
・出演者がお互いの演技を確認しながら、間合いを取ることができる。
・録音機材が同じなので音質が統一される。
・みんなと一緒に作品を作っているという実感が得られる。
・ほぼ脚本通りの順番にセリフが並ぶので編集がやりやすい。

●短所
・全員が同じ時間拘束される。
・スタジオ費用や交通費が発生する。
・遠地に住んでいると参加できない。
・録音が終わった後ではリテイクが難しい。

B:オンライン制作
●長所
・インターネットがあれば、どこに住んでいても参加できる。
・自宅の部屋で作業が完結する。
・出演者は自分の好きな時間に録音ができる。
・個人情報を知られることなく匿名でも参加できる。
・費用がかからない。

●短所
・音質が揃わない。音の大きさもばらばらになる。
・お互いの演技がわからないので、演技がかみ合わなくなる。
・演出はメール(文字)で伝えられるので理解しにくい。
・編集に時間がかかる。
・制作が中止したり、音信不通になったりする。

最後に記した「制作が中止したり、音信不通になったりする。」と言うのが、お手軽な故に生じるオンライン制作最大の問題点です。費用がかからない、顔を会わすこともない、どうせ匿名。・・・だから、制作者も出演者も責任感が希薄になります。うまく利用すればこんな良い方法はありませんが、一歩間違うと最悪の結末が・・・。このことはまた別の機会に詳しくお話しするつもりです。

ということで、また次回。ぼちぼち具体的な内容へ突入します。

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