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どこでもクーラー CORONA CDM-106

可搬型のクーラー?だと思ったのだが・・・。
掲載日:08年06月16日

以前、誰も語らなかったサウンド技術の第13回『防音への道』で書きましたけど、我がスタジオの防音対策にはほとほと困り果てておりました。しかし、ナレーションや音声制作の仕事が増えるに従って、そんな悠長なことも言ってられなくなり、昨年(2007年)の8月に意を決して二重窓工事を行いました。結果はほぼ問題は解消。レコーディングがものすごく楽になりました。

しかし、それまで取り付けてあった窓用クーラーを撤去しなければならず、今度は冷房の問題に直面したわけであります。あ、念のため説明しておきますが、エンジニアやお客さんが陣取る部屋は冷房が入っているので問題ありません。マズイのは声優やナレーターさんが入るレコーディングルームの方なのであります。

みなさん覚えていますか?2007年の夏は暑かった。熊谷で40度を超える観測史上最高気温を記録した年ですよ。「熱いぞ熊谷!」とかのキャッチフレーズを作って熊谷市民は居直ってますけどウチはそれどころじゃない。クーラー無しなんてナレーターさんが熱射病になる・・・。と言うことで、いきなりクーラーを買ってみたのでそのレポートなどを。

・・・と、まさに今買ったみたいな言い方ですが、購入したのは一年前の話しです。ま、しかしそろそろ今年もクーラーの季節。同じものを買おうかと思っている人へ参考になればと思います。

「クーラーがつけられない部屋でクーラーを使いたい!」という、私と同じ要望は意外に多いみたいで、ネットを検索するとかなりヒットします。そこに出てくるのがコロナの「どこでもクーラー」ってのとシャープの「コンビニクーラー」という機種。簡単に言えば一つのケースに室内機と室外機を詰め込んで、キャスター付きでゴロゴロ転がして運べばどこでも使えるという可搬型クーラーだ・・・ということでした。

お、いいじゃん!・・・と、詳しく調べましたところ、クーラーと言うよりは除湿器に冷風機能が付いた様な物だそうで。コンプレッサーを内蔵しているので、氷を入れて冷やす冷風機よりは強力。でも部屋を冷やすほどのパワーは無いので、冷たい風の出る扇風機という位置づけぐらいに考えた方がいいみたいですな。また、後ろから熱交換した温風を廃熱するので、閉め切った部屋では室温が上昇するそうです。

・・・と、カタログには書いてある。しかし、コンプレッサーを内蔵しているんだから、少しは部屋だって冷えるんじゃね?それに湿度を下げられればいくらかでも涼しく感じるんじゃね?・・・と、期待しちゃいました。

コロナかシャープか悩んだんですが、廃熱ダクトが付属していて、熱を室外へ逃すことができるコロナの「どこでもクーラー」に決めました。当時の最新機種じゃなくて、型落ちで安かったモデルCDM-106を購入。今年発売された最新型と比較してもスペック上の違いは無いみたいです。

さてその使用感は・・・。

正面と背面の外観はこんな感じです。かなり大きく重いです。

移動させる時は持ち手になっているくぼみだけ持つこと。吹き出し口のルーパーや両横の格子蓋に無理な力を加えると簡単に折れたり割れたりするので注意が必要。

動作音はかなりうるさいです。パワフルモードにしたときが特にウルサイ。
廃熱ダクトを取り付けるとこうなります。このダクトは布製なので、膨らませるために風圧を使ってしまい廃熱量がダウン。冷却能力もガクッと落ちます。後ろから吹き出す風量は半分以下になる感じです。

ダクトは付けないで後ろの廃熱口から思いっきり吹き出させるのが正しい使い方です。・・・ヘアドライヤー並の温風が出ますけど・・・。(実際に風呂上がりに髪を乾かしてました。)
カタログから拝借した写真。イイカンジに見えますが、ダクトを90度に曲げると、折れたヵ所がつぶれてうまく廃熱できません。この様な取付は現実的には難しいんじゃないかと思います。最低でも窓から本体を20~30センチ離す必要があります。
じゃあ試しに・・・ってことで、引き戸に本体を挟んで、上部にカーテンをかぶせてみました。部屋の湿気が取れてペタペタするのが無くなるので、室温が30度を超えなければ、この使い方でもそこそこ快適です。ただし気温は1度も下がりませんよ。湿度が下がるので少し涼しく感じる程度。また室温が30度を超えると全く役に立ちません。窓を開けて扇風機をかけた方が涼しいです。

このドアの外には直線で10メートルぐらいの廊下があるんですが、その廊下が大変なことに・・・。熱が蓄積されてものすごく暑くなります。1度や2度の上昇って感じじゃないですね。もっと高くなっているみたい。他の部屋に暖められた空気が流れ込んで家族からは大ブーイング。この使い方はボツになりました。
運転を停止しても、しばらくタンクに水がしたたり落ちます。「ピチョ~ン、ピチョ~ン」と「水琴窟(すいきんくつ)」みたいなワビサビのある音がしてレコーディングできません。水が落下する位置に大きめのスポンジを敷いて音が出ない様にしました。黄色いのが詰めたスポンジです。(音はしないが、満水になっても自動停止しないのでご注意を。)

ということで・・・。まぁ、冷風機をクーラーとして使おうという考え自体に元々無理があったんですが、ちょっとだけ描いていた淡い期待は実際に使ってみて打ち砕かれました。クーラーの代わりにはなりません。カタログの注意書き通りで、部屋を冷やそうと考えてはダメです。閉め切った部屋で使うと恐ろしいほど温度が上がります。後ろから出る廃熱はハンパじゃないっすよ。熱くて手を当てていられないぐらいの風が出てます。部屋を冷やす場合は素直に普通のクーラーを買った方が宜しいかと。

それじゃあ冷風機としてはどうなのかと言いますと、標準モードで室温が30度を超えると冷風が極端に衰えます。1メートルも届くかどうかですね。扇風機の弱風並で少し冷えた風がソヨソヨ来る程度。パワフルモードにするとある程度の風は来ますが今度はあまり冷たくない。冷却能力を室温が完全に上回っているわけです。50センチ以内の位置でスポットクーラーとして使えばかなり冷たいですが、同じヵ所に冷風を当て続けるのも体に悪いんじゃないかと心配になります。スポットクーラーの使いすぎで顔面麻痺を起こしたという記事をネットで見つけました。恐いです。

しかし除湿は抜群。タンクがすぐいっぱいになります。でもコンプレッサー型の宿命として気温が高い状態でないと除湿ができません。また除湿する際は部屋を閉め切らないといけないので、使えるのは比較的気温が低い梅雨の一ヶ月間ぐらいだけ。真夏に除湿しようなんて考えてはいけません。部屋を閉め切って使ったら熱射病になります。

昨年の夏。連日最高気温更新の真っ直中、レコーディングブースで使ってみました。もちろん動作音がうるさいのでレコーディングテストの間や休憩中だけですが・・・。結果は顔や手を冷やすスポットクーラーにしかなりませんでした。それでもナレーターや声優さんたちからは、「無いよりはマシ」「気分的に涼しい」という声がありまして・・・、まぁ、いくらか役に立っているのかという感じです。

自宅スタジオやアビテックスなど防音ボックスの中で使えないかと思っているあなたへ一言。・・・残念ながらダメだと思います。

ということで今回はここまで。また次回をお楽しみに。

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