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音声納品後のリテイク

録音が終わって、編集も終わって、納品も完了した。

お仕事完了だー!

とはいかないんですよね。

ほとんどのお仕事は音声を納品したら終わりです。しかし時として納品後に「リテイク」の要請が入ることがあります。リテイクとは簡単に言えば「部分的な修正」で、修正するためには該当する部分を「読み直し」しなければなりません。今回はそのリテイクが発生する要因についてお話したいと思います。

※私どもの経験ですと、お客様が立ち会いされた収録でリテイクはほとんどありません。下記のケースは立ち会いがない場合に発生しやすい例です。

リテイクの種類

原稿の読み間違い

納品された音声をお客様が改めて確認したら読み間違いがあったというケースです。いくら収録時に複数人でチェックしていても、全員が同じ場所の読み間違いに気づかないということはあり得ます。

※名誉のために申し上げておきますが、私どもに所属している声優さんやナレーターさんはこのような理由のリテイクはほとんどありません。

読みの速度

読みの速度が思っていたのと違うというリテイクです。お任せ収録で、「普通の速度で読んでください。」みたいな指示だったりすると起きるかもです。「普通」と言ってもその感じは人それぞれですものね。

雰囲気が違う

雰囲気違いのリテイクは全部取り直しになる可能性が高いので、追加費用のご相談になってしまうケースです。メールなどの文書だけでイメージを伝えるにはそもそも無理がありますので、お客様が収録に立会って具体的な指示をするしかないでしょう。

アクセントが気になる

社名のアクセントがおかしい。ここの地名はこんな発音ではない。私どもの業界ではこの用語は違う発音だ。などなど一般的に見聞きしない言葉がある原稿は危険です。確認しないまま収録してしまうとリテイクになる可能性が高まります。

不明瞭な発音

滑舌が悪くて一部の言葉が不明瞭になっているケースです。ナレーションを読み進める流れの中で聞けばそれほど気にならないことが多いのですが、一旦気づくと、そこがどうしても気になってしまうことがあるようです。

原稿の変更・追加

リテイクと言うよりお客様ご都合の追加録音になるのですが、納品後に原稿の変更や追加が発生することがあります。最初から完全原稿で収録したほうがベターなのは明らかなのですが、まぁ、お客様にもいろいろなご事情があるでしょうからある程度避けられないですね。


さてここからは

ナレーション声優スタジオのお話になるんですが、リテイク依頼は読み間違いを除き全て有償にて承っています。しかしリテイクの対応は事業者によって様々でして、中には「リテイク無料」「全体読み直し一回無料」「原稿の修正でも追加でも無料」などという、なかなかインパクトのある謳い文句が並んでいることがあります。お客様の立場からすれば、リテイクしても追加の費用が生じないので安心感が増すでしょう。それは営業戦略の一つとして理解できます。

ただし「リテイク無料!」というのは宅録の事業者に限られます。スタジオ録音ですと、ナレーターやエンジニアの人件費や交通費が実際に発生し、事業者の利益なども必要になるので無償対応には無理があります。

なぜ宅録はリテイク無料が可能なのか

ここからは想像ですが、事業者側がリテイクのギャラを支払ってないからじゃないですか?「宅録なんだからそれくらいタダでやってよ」ってことでしょうか。(あくまでも想像ですよ!想像!エビデンスなんか無いですよ!)

もしそうだったらモヤモヤする

もしこの想像通りだったとすると何やらモヤモヤするのです。読みに関してのリテイクではなく、お客様の都合で変更したり追加したりしても、全体を読み直してもギャラ無しってどうなんですかねぇ。宅録はもともとギャランティが安い上に、ナレーターは自分で音声編集までしなければなりません。それなのにノーギャラでやるのは不利益を被っている気がしてしまいます。

もう一つモヤるのは、読み直しても、修正しても、出演者の費用が発生しないので、事業者側があまり内容をチェックしなくても平気なのでは?納品して問題があったらリテイクすればいいやという感じ?・・・でモヤモヤです。もちろんアタクシが勝手に思っているだけで、無償と言うのはお客様に対するメリットにはなるでしょう。

宅録の出演者も

ここまでは事業者側のことを中心にお話しましたが、宅録出演者側にも「リテイクすればいいや」という良くない傾向が広まっている気がします。リテイクありきですとチェックが甘くなりがちです。本来であれば収録する前に原稿をチェックし、読みがわからない言葉は自分で調べるなり、お客様へ確認すべきとアタクシは考えています。

しかしその作業をやらずに収録していて「あ、この言葉の読みがどっちかわからない」というのが出てきたら、「どっちも読んでおけばいいや」となります。一見丁寧な対応に見えますが、後でどちらが正しいか判断して編集するのは事業者のエンジニアやお客様です。さらには収録後に原稿との突き合わせチェックしないで録ったまま提出している雰囲気も感じられます。

もちろんこれはほんの一部の方だけだとは思いますが、自分はプロだと謳うならリテイクなんかに頼らずに、最高の演技と内容の音声を一発でキメていただきたいものです。・・・モヤモヤ。

で、私どもはですね

さて私どものリテイクは基本的に有償です。明らかな読み間違いは無償ですが、お客様都合の場合は有償にしています。所属してくれている声優さんやナレーターさんが不利益を被るようなことはしたくないのと、お客様都合のリテイクならばいくらかの費用はご負担いただきたいということからです。

また声優SOHOの宅録制作であっても声優から上がってきた原音全体をチェックし、読み間違いやノイズなどの問題があればすぐリテイクを要求しています。納品する前に不具合を解消してしまっていますので納品後のリテイクはほぼありません。リテイクが有償であるが故に内部チェックを強化し、お客様にご迷惑をおかけしない様にしています。

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