パソコンなどの機器から出るノイズの他に、もう一つレコーディングに大敵なのが、声優の体から発生するノイズです。こちらの方は、電気的な原因ではないので、ちょっとした気配りと注意で防げることが多いですね。今回はその中から、代表的なものをいくつかご紹介しましょう。 ●リップノイズ 人間の口の中は濡れています。濡れている口を開け閉めすれば、音が出ます。「ぴちゃ」「くちゃ」「にちゃ」「っち」などなど。これらのノイズを総称してリップノイズと言います。出すなと言って止まるようなものではないし、これといった得策は無いのですが、口の中が乾燥してくると出やすくなる様です。緑茶など糖分が含まれない飲み物を持ち込んで、適当に口の中を湿らせながら録音するのがいいでしょう。 ●ポップノイズ ぱぴぷぺぽなどの破裂音の風圧がマイクを直撃して生じる、「ぼこっ」というノイズのことです。「マイクを吹いた」と表現することもあります。よく録音風景の写真で、マイクの前に丸い枠に張ったネットをセットしてあることがありますが、これはポップノイズを抑えるためのものです。ストッキングを一枚かぶせるだけでも、かなりの効果があります。 ●ペーパーノイズ 脚本をめくったり、脚本を持った手が震えたりして起こる「がさがさ」というノイズのことです。演技に没頭して来ると、無意識に体が動いてペーパーノイズを出してしまうことがあります。立ち位置や脚本の持ち方に注意することで防ぐようにしましょう。持ちやすいように製本された脚本をばらしてしまうのもアリです。 ●アクセサリーノイズ 身につけているネックレスや腕輪、イヤリングなどのアクセサリーが、ノイズの原因になってしまったものです。普段はほとんど聞こえない様な小さな音でも、マイクによって増幅されてしまうので要注意です。 ●衣擦れ 衣服の摩擦によって生じるノイズです。繊維の種類によっては、ちょっと動いただけでもノイズを出すものがあります。スタジオ入りする日の服装は、こうしたノイズのことも考慮して選択するようにしましょう。 ●ハンドリングノイズ マイクを直接手で持って録音する時に生じる、「がさがさ」というノイズのことです。当たり前ですが、一番の対策は手で持たないこと。スタンドを使うのがベストですが、どうしても手で持たないといけない場合は、マイクのボディにタオルやスポンジなどを巻いて、ノイズが直接伝わらないように工夫しましょう。 ●その他 演技に気合いが入りすぎて、マイクをぶん殴るとか、足を踏み鳴らすとか、・・・。 ということで、また次回。 |