読む速度を、「遅め」「普通」「早め」など、感覚的でアバウトな言い方で指定することがあります。しかし人によって受け取り方は様々ですので、完成した音声を聴いて「ちょっと違うかなぁ・・・。」と、いうことが起きてしまうかもしれません。
またビデオなどでは、映像の尺と原稿文字数との関係を考慮していないと、収録で問題が起きることがあります。
本ページでは時間と文字数との関係に焦点を当て、具体的なサンプルを使って解説します。
|1分間あたりの文字数による読みの速度と雰囲気の変化|映像の尺と原稿文字数の関係|まとめ|
ナレーターが読む速度は、一般的に1分間に300文字から350文字程度と言われていますが、作品の内容や用途によって求められる速度も変わってきます。速度を落としていくと、ゆったり、堅実、情感を込めた雰囲気になります。速度を上げていくと、テンションが高く、明るくノリの良い雰囲気になります。速度による雰囲気の変化をサンプルでご確認ください。
読む速度 | サンプル |
---|---|
1分間:200文字 | |
1分間:250文字 | |
1分間:300文字 | |
1分間:350文字 |
映像作品の音声収録でよく起きるのが、「原稿が尺に収まらない」というトラブルです。そうなる原因の一つには、原稿と映像の突き合わせチェックの方法に問題がある場合があります。
原稿が完成すると、映像に合わせて原稿を読んで尺に入るかどうかチェックをすると思いますが、その読み方(声の出し方)にトラブルを防ぐポイントがあります。「黙読」をしたり「ブツブツと小さな声」でチェックを行うと、意識せずにかなり早い読みになることがあります。ナレーターはしっかりと明瞭に発音しますので、黙読やブツブツ声よりも速度が遅めになり、結果として映像の尺から音声がはみ出します。以下のサンプルをご覧ください。
●ブツブツと小声で読んで映像に入ったとしても英語ビデオの原稿を日本語に翻訳したものをそのまま使うと、映像の尺に対して100パーセントはみ出します。もしそのまま尺に合わせて読むと、ものすごく早口になり非常に聞き取りにくい作品になってしまいます。大まかな目安ですが、英語を日本語に翻訳すると文字数は約1.5倍になりますので、原稿を削る方向での手直しが必須となることをご理解ください。
「文字数と時間と速度との関係」は、ナレーションの仕上がりに影響する非常に重要な要素です。また、収録する現場で映像の尺と原稿が合わないと、原稿を手直しする無駄な時間が発生してしまいます。読みの速度は掲記のボイスサンプルを指定していただいても結構ですし、ご自分の声で速度サンプルを録音して送っていただくという方法があります。またビデオなどの映像作品では仮ナレを入れて確認していただければ、尺からはみ出すことはなくなりますので強くお勧めします。